◆8番(井上ノエミ君) 新しいすみだの井上ノエミです。山本区長と加藤教育長、よろしくお願いします。
まず、防災対策、特に災害のときの障害を持った方の避難について、山本区長にお伺いします。
東日本大震災の津波の際には、高齢者など動けない方の避難が遅れて犠牲になった例が多いようです。災害の場合に、すぐに動けない障害のある方たちがどのように避難するか、どこに避難するかは大変重要な問題だと思います。特に、地震のときにエレベーターが止まった場合には、エレベーターのある避難所では車椅子の利用者は避難できない事態になります。区役所のリバーサイドホールはスロープがあり、車椅子でも行くことができるので、福祉避難所として最適だと障害者の方たちから指摘されていますので、是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、今後建設する施設については福祉避難所として利用できるように、階段の代わりにスロープを付けることを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。山本区長にお伺いします。
次に、学校教育について、山本区長にお伺いします。
昨年度から教育委員会制度が変わり、1年半が経ちました。これまでの教育委員会制度から変わって、山本区長が任命した加藤教育長が教育行政の責任を負う体制ができました。また、区長も総合教育会議に参加しますが、この総合教育会議の位置付けも、区長の役割もあまりはっきりしません。
そこでお伺いしますが、山本区長は総合教育会議でのご自分の役割をどのように考えているのか。また、ご自分の発言を墨田区の教育行政の中でどのように反映してもらいたいと考えているのかお伺いします。また、区長から見て、この1年半に墨田区の学校が変化してきた点があれば、それについてもお伺いします。また、将来的に墨田区の小学校、中学校をどのような学校にしていきたいか、併せてお伺いします。
次に、加藤教育長にお伺いします。
今年の3月の予算特別委員会のときに、私は山本区長に、総合教育会議での区長の発言について質問しました。それは、墨田区の全ての学校で「あいさつをする。ルールを守る」を徹底することです。これは本当に大事なことですから、教育委員会の委員で反対する方はいないと思います。墨田区の小学校、中学校で「あいさつをする。ルールを守る」を徹底するための具体的な取組があれば教えていただきたいと思います。また、私は「あいさつをする、ルールを守る」に追加して、「弱い者いじめはしない。困っている子がいたら助けてあげる」の二つを墨田区の小学校で教えていただきたいと思います。
予算特別委員会では、区長は基本的な生活習慣と規範がまず大事だと答弁されました。私もそれに大賛成です。「弱い者いじめはしない、困っている子がいたら助けてあげる」という規範を、墨田区の小学校で徹底していただきたいと思います。現在、このような規範が小学校の教育現場でどのように教えられているのか、具体的な例があれば教えてください。
次に、重度の障害がある方を対象としたグループホームの建設について、山本区長にお伺いします。
新しい墨田区基本計画では、障害のある方が、親が亡くなった後も地域で安心して暮らしていけるグループホームが必要であり、2カ所の整備を支援するとあります。このグループホームの建設をなるべく早く着工していただきたいと思いますが、現在どのような計画なのかお伺いします。
また、さまざまな障害を持つ方に対応できるように、医療ケアを備えた施設がより望ましいと思います。また、ショートステイも受け入れることができれば、より多くの障害者の方に利用してもらえると思います。是非、障害者の方のニーズに合った最新の施設をつくっていただきたいと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。
次に、障害者や障害児のためのスポーツの支援についてお伺いします。
リオのパラリンピック、そして東京のパラリンピックの開催もありますから、スポーツに参加したい障害者や障害児が増えているようです。しかし、使える施設が少ないし、指導者もなかなかいないようです。障害者スポーツを盛んにするためにも、総合的な取組が必要だと思います。例えば、パラリンピックの選手に依頼してスポーツ教室を開催してはどうでしょうか。また、施設については、プールがなかなか使用できないので、何とかしてほしいという要望があります。障害者のプールの使用について、もっと機会を増やすことはできないでしょうか。また、夏休み期間は、児童のプールの使用期間が終わった後に、学校のプールを障害者専用プールにして利用することも検討していただきたいと思います。障害者スポーツの支援について、山本区長のご見解をお伺いします。
次に、子育て支援に関連して、山本区長に2点お伺いします。
まず、保育所における子どもの安全対策についてお伺いします。
内閣府によれば、2015年に保育施設で乳幼児14名が死亡しています。重大なけがを含めれば全部で399件の事故が報告されています。このような事故が起こらないように、墨田区の保育施設での安全対策を徹底していただきたい。今年の3月に、内閣府、厚生労働省、文部科学省は「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」を、地方自治体に通知しました。このガイドラインには、事故を防止する方法が大変詳しく書いてあります。例えば、乳児はうつ伏せに寝かせないことや、やわらかい布団は使用しないこと。また、喉に食べ物を詰まらせる誤嚥を起こさないための注意や、食物アレルギー対策などもあります。
保育所でこのガイドラインを守れば、事故が起こることはないと思います。是非このガイドラインについて墨田区内の保育施設に周知して、内容についても徹底していただきたいと思いますが、現在どのような対策を考えているのかお伺いします。
次に、無認可の保育施設についてお伺いします。
保育施設での事故については、亡くなった14人のうち10人が無認可施設でした。スーパーも夜遅くまで開いている時代ですから、夜遅くまで働く必要のある女性も多いと思います。しかし、夜間や24時間保育は無認可のベビーホテルしかありません。ベビーホテルについては東京都の管轄になっていますが、墨田区には9カ所のベビーホテルがあります。東京都の責任だから墨田区はあまり関係ないという立場だと思います。しかし、東京都は本当にきちんと監査しているのでしょうか。この2年間に墨田区内の何カ所のベビーホテルを監査しているのかお伺いします。
また、認可外のすみだ子どもサロンには、年間1,000万円程度の補助金を出していますが、夜間保育はやっていません。夜間保育は無認可保育施設でしか対応できないなら、何らかの支援策が必要と思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。
次に、公園の整備について山本区長にお伺いします。
私の地元の若宮公園に新しい遊具が入りました。滑り台が三つある複合遊具です。色もきれいで子どもたちに大変人気があります。これまで静かだった公園が、今は多くの子どもたちがこの遊具で遊んで、公園が大変にぎやかになりました。子どもたちにとって遊具は本当に大事だと思いました。とても良い遊具を入れていただきまして、本当にありがとうございます。
それから、別の公園でも必ず遊具をチェックするようにしています。例えば、東向島四丁目の東向島北公園は、かなり広い公園です。ブランコと滑り台はありますが、少し寂しいです。錦糸公園にはすばらしい複合遊具があって、いつも多くの子どもたちが遊んでいます。是非、子どもたちのために墨田区の公園の遊具を見直して、良い複合遊具を入れていただきたいと思いますが、山本区長にご見解をお伺いします。
次に、観光対策についてお伺いします。
今回の北斎美術館の開館では、山本区長をはじめ担当者の皆様、大変お疲れさまでした。両国地域に観光の新しい拠点が完成して、これから大変楽しみです。また、今回はマスコミ対策も大成功でした。APがニュースを世界中に発信したので、アメリカではニューヨークタイムスやワシントンポストのオンライン版には、記事が載りました。また、アメリカの多くの地方新聞でも取り上げていました。担当者の皆様に心から感謝したいと思います。
今回、英語圏以外、ヨーロッパや中国などのアジア諸国でのマスコミの反応について、もしお分かりなら教えていただきたいと思います。また、今回の世界での反応を見ても、北斎美術館を世界で一番有名な日本の美術館にすることは可能だと思います。両国には、世界に誇る相撲もありますし、ちゃんこ料理もありますので、北斎美術館とともに両国地域を世界に売り出すような広報戦略が、これから大事だと思いますが、山本区長はどのようにお考えかお伺いします。
最後に、外国人観光客のおもてなしについてお伺いします。
最近、両国付近を歩いていて、外国人観光客から両替所がどこにあるか聞かれます。両国にある「ひがしん」の本部では両替ができると思いますが、このような情報がなかなか外国人には分からないようです。是非「ひがしん」にも協力してもらって、両替所についての情報を提供していただきたいと思います。また、外国人の知らない日本における基本的なマナー、例えば路上でたばこを吸えないことや、ごみを持ち帰るなどについても、外国語のパンフレットに入れる必要があると思います。是非このような基本的な情報発信を強化していただきたいと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。
以上です。質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長 山本亨君登壇〕
◎区長(山本亨君) ただいまの新しいすみだ、井上議員のご質問に順次お答えします。
最初のご質問は、防災対策についてです。
まず、リバーサイドホールを福祉避難所とすることについてですが、現在、内閣府による「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」に基づき、建物、人員状況等の基準に適合する18カ所の福祉施設を、墨田区地域防災計画上の福祉避難所に指定しています。リバーサイドホールは、この基準には不十分であるほか、災害時の物資の受入れ、配分等の地域内輸送拠点に指定されていますので、福祉避難所とすることは難しいと考えます。また、新たに建設する建物については、いわゆる「バリアフリー法」に基づき整備することとなりますが、内閣府のガイドラインに適合する施設である場合は、福祉避難所に指定できないか検討していきます。
次に、学校教育についてです。
まず、総合教育会議における私の役割と、私の発言の教育行政への反映についてです。
総合教育会議は、区長と教育委員会が円滑に意思疎通を図り、本区の教育課題や目指す姿を共有しながら、連携して効果的に教育行政を推進していくために設けたものです。私の役割は、墨田区基本計画に掲げる「子どもたちに知・徳・体のバランスのとれた教育を行う」政策目標を達成するために、教育委員の皆さんと十分に協議を行いながら、教育施策大綱を策定したり、教育環境の整備や重点施策の実現に向けて、教育委員会とともに取り組んでいくことです。したがって、総合教育会議での私の発言は、教育施策大綱の内容を教育施策の大きな方向性として捉え、推進していただくことで、教育行政の具現化につながるものと考えています。
次に、この1年半に本区の学校が変化してきた点と、将来的に本区の小学校、中学校をどのような学校にしていきたいかについてです。
学校においては、確かな学力の定着と向上への取組や、地域の特色を生かした教育活動などが着実に進められていると理解しています。学校の将来像については、教育を受ける権利を有する全ての子どもたちが、それぞれの個性が尊重される中で意欲を持って学び、健やかな心と体を育てる場として、より発展していくよう役割を果たしていきたいと考えています。
次に、障害者の支援施策についてです。
重度の障害者向けグループホームの整備ですが、民間事業者が建設し運営する知的障害者向けの施設、及び肢体不自由者向けの施設の整備を支援するため、現在候補地を検討しています。今後、用地を確定した後、民間事業者を公募し、平成32年度の開設を目指して進めていきます。また、医療的ケアやショートステイなど、事業内容の検討はこれからですが、できる限り利用者のニーズや利便性を考慮していきたいと考えています。
次に、障害者・障害児スポーツの支援施策についてです。
東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、障害者スポーツの振興を図っていくことは大変重要であると考えています。
まず、パラリンピック選手による障害者や障害児のためのスポーツ教室の開催についてです。
区では、秋の恒例行事として「すみだまつり・こどもまつり」を開催していますが、今年は東京都と連携してNO LIMITS CHALLENGE(ノーリミッツチャレンジ)と銘打ち、パラスポーツであるウィルチェアーラグビーの体験会や、パラリンピアンである三浦浩選手と土田和歌子選手によるトークショーなども開催しました。また、墨田区総合体育館では、区民健康スポーツデーや障害者スポーツ・レクリエーション大会を開催していますが、こうしたイベントを契機に、パラスポーツの指導者をお招きし、障害者や障害児向けのスポーツクリニックなどを開催することができれば、障害者スポーツの普及・振興の観点からも大変有意義であると考えますので、今後検討していきます。
次に、障害者のプール利用についてです。
現在、墨田区総合体育館と両国屋内プールでは、障害者水泳教室を年数回開催しています。両館とも障害のある方の利用にも配慮した施設ですので、是非ご利用いただければと考えています。なお、学校プールについては、安全確保や施設のバリアフリーなどの課題があり、現在障害者専用プールとしてご利用いただくことは難しいと考えます。
次に、子育て支援施策についてです。
まず、保育所における子どもの安全対策についてです。
区では、保育所における安全対策として、ご紹介のガイドラインを区内の認可保育所に通知するほか、定期的な指導検査を行っています。具体的には、チェックリストにより詳細な項目の検査を行い、不適格な項目があった場合には現場で指導するとともに文書で通知し、改善を促しています。改善状況については、事業者から報告書を提出させ確認を行い、保育所の安全確保等を行っています。
次に、墨田区内のベビーホテルに対する監査についてです。
ベビーホテル等の無認可保育施設については、ご指摘のとおり東京都が指導検査を行っているところです。この2年間で無認可の保育施設4件の指導検査を行い、このうち3件がベビーホテルでした。
次に、夜間保育を行っている無認可保育施設に対して、何らかの支援策が必要ではないかというご指摘についてです。
こうした無認可保育施設に対し制度的な位置付けがされない中では、区として補助を行う考えはありませんので、ご理解をお願いします。
次に、公園の整備についてです。
公園の複合遊具は、さまざまな遊びができ、子どもたちに大変人気がありますが、これを設置するには一定規模のスペースが必要となるなど制約があります。今後、公園整備に当たっては、既存の遊具機能の検証や地域や利用者の要望のほか、きめ細かな利用実態把握を行い、それぞれの公園に適した遊具の選定や配置を検討し、多くの子どもたちに喜ばれる公園となるよう進めていきます。
次に、観光対策についてです。
まず、すみだ北斎美術館開館に対する海外のマスコミの反応についてです。
すみだ北斎美術館には、これまでテレビや新聞、雑誌関係を中心に多くのマスメディアから取材や撮影の依頼があり、連日紙面や報道番組等で大きく取り上げていただいている状況です。海外、特に英語圏以外におけるマスメディアの反応ですが、AP通信などを通じて各国へ記事を配信しており、その詳細は把握できていませんが、今後海外メディアの反応について注視していきたいと考えています。
次に、すみだ北斎美術館を含む両国地域の海外に対する観光プロモーション戦略についてですが、現在、海外への観光プロモーションとして、パンフレット等の多言語化、海外旅行博の出展によるPR、現地旅行会社との商談会、海外ブロガーの招致やSNS等での情報発信、海外での雑誌掲載等、さまざまな施策を展開しています。両国地域にはすみだ北斎美術館や両国江戸NOREN、来年度開館予定の刀剣博物館など、新しい観光資源もそろいつつありますので、さらに海外に向けた情報発信を強化していきます。
次に、外国人観光客に対する、外貨両替場所やマナーなどの基本的な情報発信の強化についてです。
区内の観光案内所は外国語対応となっていますので、外貨両替場所についても、金融機関をはじめとした関係機関等と連携し、外国人観光客に分かりやすく紹介していきます。また、マナー等については、必要な場所に掲示等するなど情報発信の強化を図っていきます。
以上で、新しいすみだ、井上議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
〔教育長 加藤裕之君登壇〕
◎教育長(加藤裕之君) 新しいすみだ、井上議員のご質問にお答えします。
「あいさつをする。ルールも守る」を徹底する取組ですが、児童会や生徒会などが中心となって、あいさつ運動を展開している学校は多くあります。学校の門に立ち、登校してきた児童・生徒だけではなく、学校の前を通る地域の方や通勤の方などに対して、積極的にあいさつをする学校などもあります。また、地域の方やPTAの協力を得て、一緒にあいさつ運動を展開している学校もあります。
「ルールを守る」については、各校で学校の決まりを設定し、生活目標を意識して守っていく取組を日常的に行っております。また、いじめ問題などの根本的な解決には、自分も相手も大事にすることを柱に指導を行うことが重要であると考えております。小学校の道徳の時間において、友達と仲良くし助け合うことや、自分の好き嫌いにとらわれず接すること、身近にいる人に温かい心で接し親切にすることなどを、読み物資料を活用して学習したり話し合ったりすることで、「弱い者いじめはしない、困っている子がいたら助ける」という心の育成を図っております。
また、小学校における具体的な取組としては、いじめのロールプレイングを児童にさせ、考えさせたり、いじめられている側、いじめている側、見ている側の立場に立って気持ちを考えさせたりするなどの実践があります。
以上で、新しいすみだ、井上議員のご質問に対する答弁を終わります。
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